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『神様の食卓』デイヴィッド・グレゴリ―

「イエス・キリスト」と名乗る人物からディナーの招待状を受けたビジネスマン。好奇心からディナーに赴き、自らをイエスと名乗る男に様々な質問をぶつけるのだったが……。 小説としてもキリスト教入門としてもかなり面白くなりそうな題材なのに、単なる布教用…

『夢盗人の娘』マイクル・ムアコック

第二次大戦前夜、白き肌とルビー色の瞳をもつフォン・ベック伯爵ウルリックの居城に、SS将校となった従兄のゲイナー公爵が訪ねてきた。ベック家に古えより伝わる「黒の剣」レーヴンブランドをヒトラーに渡せというのだ。拒絶したウルリックはただちに収容所…

幻のSFミステリ『キングとジョーカー』が復刊

ピーター・ディキンスンのSFミステリ『キングとジョーカー』が11月28日に扶桑社から復刊されるようです。セブン&アイの総合通販サイト|オムニ7 ただでさえ古書価高めなサンリオSF文庫の中にあって、最高ランクの入手難易度とプレミア価格(四桁越え!)を…

『心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観』安藤寿康

人間の「心」に与える遺伝の影響はどのようなものなのか、そしてそれは親の教育や育った環境といった、後天的な要因よりも強いのか……こういう「生まれか育ちか」問題は、「蛙の子は蛙」「鳶が鷹を産む」などと諺にもなっているように、古くより人々の関心を…

『ヒトデ学―棘皮動物のミラクルワールド』本川達雄・編

ヒトデ、ウニ、ナマコ、ウミユリからなる「棘皮動物門」は、日常ではめったに注目されることの無い生物群だ。多少なりとも話題に上るとしたら、せいぜい食べ物としてのウニやナマコ、サンゴを食い荒らすオニヒトデくらいだろうか。本書はそんな日陰者、棘皮…

『魔女とカルトのドイツ史』浜本隆志

異端狩り、ユダヤ人狩りや魔女狩りの悲劇は、中世から現代にいたるまで、なぜ何度も繰り返されたのか?その真相をカルト発生の観点から読み解く。 (Amazon商品紹介より) 結構期待して読み始めた本なのだが、『魔女狩り』『異端審問』『ハーメルンの笛吹き男…

早川その他12月の気になる新刊

http://www.hayakawa-online.co.jp/product/issue_schedules/book/list.html 『ひとりっ子』グレッグ・イーガン 刊行日: 2006/12/15 ハヤカワからイーガン短編集が発売!! 河出の『TAP』を今か今かと待っていたので、思わぬ伏兵の出現に悶絶した。収録作品は…

『ニッポン問題―M2:2』宮台真司、宮崎哲弥

月刊誌「サイゾー」に掲載された対談連載を単行本にまとめたもの(の文庫化)。この本にまとめられているのが2002年から2003年にかけての連載分で、当時の時事問題(時期的に911に関する論議が多い)について、“リベラリスト”の宮台真司と“コミュニタリアン”…

『アインシュタイン 日本で相対論を語る』アルバートアインシュタイン、杉元賢治、佐藤文隆

1922年、大正デモクラシー渦中の日本へやってきたアインシュタインは、43日間の滞在中、各地を精力的にまわった。これはその時の記録を、アインシュタイン自らの日記や報道記事などによって再構成した本。 アインシュタインはもともと親日家だったが、実際に…

『われらの有人宇宙船―日本独自の輸送システム「ふじ」』松浦晋也

NASDAによって提言された、国産有人宇宙船「ふじ」構想を解説する本。 何故日本が有人宇宙船を開発しなければならないのか。何故使い捨て型の宇宙船で無ければならないのか。本書では「ふじ」計画について当然思い浮かぶこれらの疑問について、明快で分かり…

早川その他11月の気になる新刊

http://www.hayakawa-online.co.jp/product/issue_schedules/book/list.html 『夢盗人の娘』マイクル・ムアコック 刊行日: 2006/11/10 いよいよ本邦初訳分ですね。 『竜を駆る種族』ジャック・ヴァンス 刊行日: 2006/11/25 ハヤカワ名作セレクションはジャッ…

『ストームブリンガー』マイクル・ムアコック

最愛の妻を何者かに拉致されたエルリック。魔剣ストームブリンガーを手に探索の旅に出るが、“新王国”の地は、“混沌”と手を結んだパン・タン=ダリジョール連合軍に侵略されつつあった。戦乱の渦中に否応なく巻きこまれるエルリック。だがこれらは、迫り来る“…

『妖の忍法帖』山田風太郎

東京出張の際に、たまたま入った古本屋にて入手。光文社カッパ・ノベルズ版で、挿絵は小島剛夕。後に『忍法双頭の鷲』と改題されて角川文庫に再録されており、いかにも適当につけたような原題よりはずっと中味に則した題名ではある。もっともこれまた現在で…

『SFベスト201』伊藤典夫 編

出版社による公式サイト 1970年代から2000年までに出版された中より厳選した、201冊の翻訳SFを紹介したガイドブック。 各作品1ページほどの長さながら、それぞれの紹介者のスタンスがはっきりした「濃い」紹介文は、読み応えがあって素晴らしい。また、伊藤…

『武蔵野水滸伝(上・下)』山田風太郎

千葉周作、国定忠治、清水次郎長など江戸後・末期の有名剣士、侠客が勢ぞろい。妖術の力を借りて、本来あり得ないはずの「夢の対決」を実現させる、というお話。どことなく『魔界転生』リメイクという趣もある一作だけど、こちらは肩の力を抜いた娯楽作、講…

『グラックの卵』浅倉久志・編

順調に刊行が続いている国書刊行会の「未来の文学」シリーズ。第二期第三回配本である今回は、浅倉久志の選出によるユーモアSF傑作選。浅倉編のアンソロジーと言うと、伊藤典夫と組んだ「スターマン」「スターシップ」「タイム・トラベラー」(いずれも新潮…

『軍艦忍法帖』山田風太郎

乗鞍丞馬と名乗った飛騨の浪人は、将軍の御前試合で得体の知れぬ幻法、妖術を使ってすでに六人を倒していた。だが七人目に立った旗本、宗像主水正の剣が丞馬の片腕を叩き切った。幻術は破れたのである。それは主水正の背後に見た女の面影のせいであることを…

早川・創元10月の気になる新刊

http://www.hayakawa-online.co.jp/product/issue_schedules/paperback/list.html 名作セレクションでは『ジョナサンと宇宙クジラ』が復刊。「黄金時代のスペースオペラを21世紀に蘇らせる」という惹句の『ゴールデン・エイジ』も気になるところ。 http://www…

『クマムシ?!−小さな怪物』鈴木忠

ベストセラーとなった『へんないきもの』でも取り上げられていたクマムシは、その強靭な生命力と怪異な容貌から、知る人ぞ知る奇天烈生物。本書はそのクマムシを専門で取り扱った本としては、日本初とのこと。なにしろ「岩波科学ライブラリー」なんてお堅い…

『どーなつ』北野勇作

父の迎えを待ちながらピンボール・マシンで遊んだデパート屋上の夕暮れ、火星に雨を降らせようとした田宮さんに恋していたころ、そして、どことも知れぬ異星で電気熊に乗りこんで戦った日々…そんな“おれ”の想い出には何かが足りなくて、何かが多すぎる。いっ…

『日本SF論争史』巽孝之編

日本人によるSF評論のアンソロジーだが、論争に関わった論文だけを集め、そこからSFの歴史を俯瞰する、という方針で編集されている。評論集でありながら、日本SF大賞を受賞した大作(値段も5000円超!)。年代も発表媒体もバラバラな論考が集められているも…

『虫の味』篠永哲、林晃史

昆虫関係の研究者二人が、とにかく色々と虫を食べてみる、という趣の本。 基本的には、様々な調味法で虫を食べる体験談、コノ虫はなかなかいける、アノ虫はいまいち……と言った話と、その昆虫にまつわる薬学的なトリビア(本書の元となったのは、薬関係の雑誌…

『愛のひだりがわ』筒井康隆

治安が悪化し、人心が荒廃しつつある近未来の日本。左手に障害を持つ少女、愛は、生き別れた父を探すため一匹の犬とともに旅に出る。 母親を失った少女が肉親を求めて旅に出る。その傍らには一匹の犬。少女は旅の途中で様々な人々の助けを得て、精神的に成長…

『ヘル』筒井康隆

ここは現世か地獄か? 夢か現か? はたしておれは生きているのか? 「ヘル」では生者も死者も一緒くた。恨みも愛も欲も甦り、時間と世界は崩れ落ちて…。七五調にのせていざなう恐怖と哄笑の筒井ワールド。 (Amazon商品案内より) 筒井流「あの世」であるところ…

『おことば 戦後皇室語録』島田雅彦

皇室の公式発言を、島田雅彦が解説、考察するという趣向の本。皇室と『優しいサヨクのための嬉遊曲』の作家という組み合わせは良く分からなかったのだが、本書の記述によると、個人的に故高円宮との付き合いがあり、また小説の題材として皇室を取り上げたこ…

『動物の意識 人間の意識』デリク・デントン

実験生理学者であるデントンが、「意識」について論考した本。はじめに断っておくが、本書はかなり読み辛かった。全体的に訳が生硬ぎるし、なかには何べん読み返しても意味の取れない文章もあったりして、そういう所は誤訳なんじゃないかという気さえする。…

『アメリカン・コミックス大全』小野耕世

「大全」と名は付いているけれど、総花的なガイドブックというよりはエッセイ集という方が良い性格の本。もっとも扱ってる内容が、時間的には草創期から9.11後の状況まで、内容的にはスーパーヒーローものから新聞連載漫画までと幅広く、通して読むことでジ…

『眠れぬ夜のグーゴル』A・K・デュードニー

広告、報道、政府発表などに潜む数字のごまかし、統計に関する思い込みについて、やさしく解説する数学エッセイ。 特に思い込みに関する話が面白かった。「株式市場は予測できない」「ギャンブルは長期的に見ると必ず損をする」など、理屈としては理解してい…

100冊読書クラブ

はてなグループに参加した事で、専用の日記スペースをもらいました。 せっかくなのでそちらは読書メモ的に使う事にします。 乱視眼読書ノート - 100冊読書 基本的に自分用メモなので他人が読んで面白いもんじゃないと思いますが、一応。

はてな年間100冊読書クラブ

アスベスト除去工事のために閉まっていた図書館が、やっと再開しました。これを機に、前から気になっていた「はてな年間100冊読書クラブ」に参加することにします。 今年8月1日から来年7月31日までの間に100冊、というのを目標に頑張ってみます。最近、忙し…