『アインシュタイン 日本で相対論を語る』アルバートアインシュタイン、杉元賢治、佐藤文隆

 1922年、大正デモクラシー渦中の日本へやってきたアインシュタインは、43日間の滞在中、各地を精力的にまわった。これはその時の記録を、アインシュタイン自らの日記や報道記事などによって再構成した本。
 アインシュタインはもともと親日家だったが、実際に目にした日本の印象もとても良かったようで、旅日記にも日本人と日本独自の文化への賞賛の言葉が並べられている。一方、日本の側もまた、この偉大な科学者に熱狂的な賛辞を送った。当時の新聞記事を見ると、博士の一挙一投足に国中上げて一喜一憂している様が実に微笑ましく、楽しい気分になる。
 日本におけるこの歓迎ぶりは、科学に対するカーゴカルト的な熱狂を連想させられる(あるいは、後のマッカーサーへの態度などとも共通する心性があるのかも知れない)。もっとも今の日本に生きる身としては、良かれ悪しかれこの喪われた「信仰」に、どこかまぶしさをも感じるのだが……。
はてな年間100冊読書クラブ 24/100)

アインシュタイン日本で相対論を語る

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