『魔女とカルトのドイツ史』浜本隆志

 異端狩り、ユダヤ人狩り魔女狩りの悲劇は、中世から現代にいたるまで、なぜ何度も繰り返されたのか?その真相をカルト発生の観点から読み解く。
Amazon商品紹介より)

 結構期待して読み始めた本なのだが、『魔女狩り』『異端審問』『ハーメルンの笛吹き男』など既読の新書、文庫と大きな違いの無い内容だったのは残念。
 もっとも、これらの内容について編年的、コンパクトにまとめてあるので、この手の分野について初めて読む本としては優れていると思う。また、個人的にはナチス時代のドイツを扱ったファンタジー『夢盗人の娘』の前に読んだので、一種の予習にもなった。
 ただ、主題である「何故ドイツで集団ヒステリー的な現象が繰り返して起きたのか?」というテーマがそもそも前提として正しいのか(他の国と比べてことさらにそうだったのか)はっきりしない上に、その答えが「ドイツの抑圧的な政治体制」「生真面目で論理的な国民性」と、これまた曖昧なのが、どうにも肩透かしに思える。正直なところ、もやもやした気持ちの残る読後感だった。
はてな年間100冊読書クラブ 28/100)

魔女とカルトのドイツ史

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