『まんがサイエンスX』あさりよしとお

 あのあさりよしとおが学習誌に連載!?……と、驚いたのも今は昔、大人も楽しめる科学まんが「まんがサイエンス」も、今巻でとうとう十巻目です。
 今回は地球環境問題から始まって(これだけ初出がかなり古い)、常在細菌やインフルエンザの話、ミミズの進化、顕微鏡・望遠鏡・ガス冷房・DVDなどの原理と仕組み、ドップラー効果、ロケットの「スカート」は何のためにあるのか、火星の生命探査の話、そして最後は大人になったよしおくん達の姿を通して近未来の技術の発展を描く特別編、という内容。
 個人的に一番面白かったのは、ロケットの「スカート」の話。どうしてロケットのノズルは、みんな釣鐘型をしているのか、という疑問。これが、簡単なようで実は結構奥が深い話だったりする。何故大気圏内を飛ぶロケットのスカートよりも、宇宙空間を飛ぶものの方が長いのか。『われらの有人宇宙船』『軌道エレベータ』を読んだときにも感じたことだけれど、ロケットというのが、いかにクリティカルな制限の元で飛んでいるものかが、よく分かる。
 あとガス冷房の解説も面白い。ヒートポンプの原理自体は知っているものの、実際の仕組みを見ると、その巧妙さには、ただただ感心。
 不満があるとすればページ数の少なさだが、これは「*年の科学」での連載自体が再録中心となっているとの事なので、仕方ないかも知れない(1年毎に読者が入れ替わる掲載誌の性質を考えると、常に新しいトピックを扱ってくれ、とも言えないし)。あと物足りない点としては、あやめちゃん虐待ネタが少ないことくらいかなあ(笑)。

まんがサイエンス (10) (ノーラコミックスDELUXE)

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