『ネオ・アズマニア1』吾妻ひでお

 「メチル・メタフィジーク」「どーでもいんなーすぺーす」「るなてっく」と78〜80年ごろのシリーズ物を中心に収録した作品集。「るなてっく」以外は既読。
 「メチル〜」のSFパロディも楽しいけど(それにしても20代以下の人でこれらの元ネタがわかる人が、果たしてどれだけいるんだろ)、個人的には同じSFネタでも、「どーでもいんなーすぺーす」の身も蓋も無いドライなギャグが好きだな。特に「恍惚都市」とか、今見てもひでえなあと思いつつ、大笑いしてしまった。
 後は「るなてっくNo.2」の虚無感漂う展開とか。ちょっと、ぞくっとした。

ネオ・アズマニア (1) (ハヤカワコミック文庫 (JA867))

ネオ・アズマニア (1) (ハヤカワコミック文庫 (JA867))

 ところで「どーでもいんなーすぺーす」の一篇「つかれる方程式」、昔読んだひでおコレクション版の記憶とちょっと違う。昔の版では薬を届けに行く先の惑星の住民が、現地の生物とやりまくったために性病をうつされた、という設定になっていたはず。鼻がもげてきた、という描写がマズかったんだろうか……。描き変えられて「頭から馬が生えてくる」というのも絵面としてはシュールで、吾妻ひでおらしいといえばらしいんだけど、元版のあけすけさ、下世話な素材がSFという舞台にポンと投げ出されてる雰囲気の方が、よりこのシリーズらしかったように思う。う〜ん、やっぱりこういう描き変えは嬉しくないなあ。