『みきおとミキオ』『ドラえもんカラー作品集6』藤子・F・不二雄

 ながらく入手困難状態だった作品が、待望の文庫化。この作品は小学校時代にてんコミ版を読んだきりだったので、本当に懐かしい。ポンチが女の子だったことなんて、完全に忘れてたよ。
 少年SF短編シリーズを思わせる雰囲気のお話だが、SF設定の妙以上に「誰にも知られずに、もう1人の自分と入れ替わる」というアイデアのワクワク感の方が、子供時代の自分にはたまらなく魅力的だった。
 それにしてもF先生A先生ともに、子供の感じる「ワクワク感」を掬い上げることにかけては本当に絶妙だったな、と今にして思う。「天井裏でライオンを飼う」「小学生が百万円貯金旅行(毎回収支報告付き)」「ロボットの組み立てキット」「ブラック商会の請求書」「チューダーとキャベツ炒め」「石鹸1個、釘1本、マッチ100本、鉛筆450本、石灰コップ1杯、硫黄一つまみ、マグネシウム一つまみ、水1.8リットルで人間製造」etc、etc……。
 集中では、現代世界でミキオを病気になったため、未来世界から連れてこられたマリちゃんが看病する話が印象的。訳も分からず奇妙な世界に連れて来られたことに怒りつつも、「約束だから」何も聞かない、と言うのが良いじゃないですか! 襟元が羽の様になった、未来ワンピースがまた可愛いし。ちなみに人外だが、ポンチもなかなか良いです。みきおとのコンビは、同時期の「ドラミちゃん」に通じるものがあるような気がする。つくづく短期連載で終わったのが惜しい作品だなあ。
 ちなみに、最近出た藤子作品では『ドラえもんカラー作品集』も買いました。てんコミ未収録の作品ばかり収録した貴重な単行本ではあるものの、初期作品ばかり集めた前巻に比べるとインパクトは若干弱めかも。

ドラえもんカラー作品集 (6) (てんとう虫コミックススペシャル)

ドラえもんカラー作品集 (6) (てんとう虫コミックススペシャル)