『スティール・ボール・ラン8』荒木飛呂彦

 なんだか結構なハイペースで出ている単行本。今巻は髑髏ヒゲの男リンゴォ戦の決着と、ブラックモア登場編が収録されている。
 どうも第2〜3ステージあたりの展開は個人的に低調だったんだけれども、最近はまたまたお話に引き込まれてきている。相変わらずバトルの展開は強引なんだけど、エモーショナルに盛り上がりまくるので、あまり気にならなく読ませてくれるのが嬉しい。絵的にも書き込みが異様に増えていて、素晴らしい迫力。デビューから相当経って絵的に固まっているベテラン漫画家の絵が変化する場合、奇形化が進むか、描線の力が抜けていって衰えていくか、大体そんなことが多いんだけど、こんな風に「進化」するのはなかなか珍しいんじゃないかな。
 さて、「緑色の墓標」編ではスティール夫人ルーシーがクローズアップ。161ページ下段コマがいいね。「それだけでいいんだ……たったそれだけで…そのためにこのレースに全力を尽くそう…」と言うスティールを見上げるルーシーの表情に、ぐっと来る。そして、ガタガタ震えながらスタンド使いと一人立ち回っていく姿、保護欲と感情移入を同時に促すようなところがたまらないなあ。さて、この戦いでどんな風に彼女は変化していくのかな。

STEEL BALL RUN vol.8―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (8) (ジャンプコミックス)

STEEL BALL RUN vol.8―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (8) (ジャンプコミックス)