これはちょっと酷いのでは?

日本型ヒーローが世界を救う!
 金〜日曜日と実家に帰ってたんだけど、そこの本屋で『日本型ヒーローが世界を救う』という本を見つけた。ちょっと興味を惹かれて立ち読みしてみたら、その内容のあまりのデタラメさに驚愕。アメコミと比較して日本のマンガ・アニメの素晴しさを持ち上げようという内容の本らしいが、とにかくアメコミに関する記述が無茶苦茶過ぎる。うろ覚え状態だが、大体以下の様な調子の記述。
 曰く「アメコミは主役、助手、悪役、ヒロインと役割が完全に固定されており、役割分担を揺るがすことはタブーである。助手や悪役が主役になることは絶対にありえない」「アメコミには個性豊かなメンバーが対等の関係で協力しあう、などという集団ヒーローは存在しない」「スーパーマン以外のアメコミは、全てスーパーマンを変形させたものに過ぎない。バットマンはロビンを守るためにマスクを被ったスーパーマンに過ぎないし、スパイダーマンはぐにゃぐにゃの体が恥ずかしくて隠したスーパーマンに過ぎない」「アメリカのコミックやアニメには、現在に至るまで女性主人公は3人しか存在しない。全て第二次世界大戦中という特殊な状況下で誕生したあだ花に過ぎない存在」
 最初の10数ページくらいでこの調子。とてもそれ以上読み進める気にはなれなかった。とにかくアメコミは単純で男性上位的で力が全てのマッチョイズムなのでけしからん、と言いたいらしい。……でもね、こんな本書くからにはさあ、せめてX-MENのことくらいは知ってても良いんじゃないかなあ。スパイダーマンとかバットマンなんて、映画すら見て無いっぽい。そもそも日本語で読めるアメコミ入門サイトをちゃちゃっと眺めるだけでも、こんな無茶苦茶な記述は出来ないと思うんだけど……。
 こちらの「パラダイス鎖国」にも通じることだけど、なんというか、日本で「ジャパン・クール」なるものを持ち上げている一端がこんな夜郎自大な感覚に支えられてるんじゃないかと想像すると、薄ら寒い気持ちになる。日本のアニメ・マンガの素晴しさを称えるにやぶさかでは無いんだけれど、こんなやり方は認めたくないなあ。