『ロボットの心―7つの哲学物語』柴田正良

 「ロボットに心は持てるか」という思考実験を行うことで、心と意識に関して哲学者はどのように迫っていくか、分かりやすく解説した本。「7つの哲学物語」と副題にあるように、SFや例え話めいたお話が各章の冒頭に提示され、そこから議論を深めていく、という形になっていて面白い。
 実をいうと、思ったほど「哲学」っぽい本じゃなく、むしろチューリング・マシン、フレーム問題、ニューラル・ネットなど人工知能研究についての分かりやすい入門書になっている。自分は哲学について割と不如意な人間なんで、これはちょっぴり嬉しい誤算だった。もちろん出発は哲学的な問いかけから始まっているのだが、それが問題点を整理することになっていて分かりやすい。哲学からアプローチする意義というのはこういうところもあるんだな、と素人的には感じたのでした。

ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書)

ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書)