『世界の終わりの魔法使い』西島大介
『トリポッド』シリーズの挿絵などを手掛ける西島大介による書下ろしまんが。
この人の絵をはじめて見たのはG2OだったかSFマガジンだったかな。すごく可愛らしい絵柄なので一目で気に入った。もっともSFマガジンで連載した、古典SFを再解釈したような趣旨のまんがは、あまり気に入らなかったけれども。
村でただ一人魔法の使えない少年と、謎の魔法使いの少女との交流を描くお話。と聞くとファンタジー風なのだが、終盤はかなりSFっぽくなっている。一見微笑ましいんだけど、良く考えると相当ヒドイ話で、そのへんのギャップはちょっとコードウェイナー・スミスを思い起こさせるような気がしないでもない。その他「竜のグリオールに絵を描いた男」やナウシカ、エヴァなど色々な物語を髣髴とさせる仕掛けがコラージュの様に散りばめてあって、面白いと言えば面白いんだけど……途中に出てくる先生の長広舌ともども、ちょっと気恥ずかしい気分になるのが正直なところ。もうちょっとさりげなく目立たないようにするか、むしろストレートに物語ってくれないかなあ、と。10〜20年前の自分だったら、こういう仕掛け、格好良いなあとか思って読んでたんだろうけど。
でも終盤の展開は、嫌いじゃ無いな。結構ぐっときてしまった。あと、表紙のデザインが凄くイイ。なんだかんだ言って、「カワイイ」は強いですね。あと、「SF」も(自分限定で)。
- 作者: 西島大介
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/02/19
- メディア: 単行本
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