『続リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』アラン・ムーア、ケビン・オニール

リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン (続) (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ―America’s best comics)
(前巻の感想はid:zeroset:20040718で)
 ミナ・ハーカー、アラン・クオーターメイン、ハイド氏(ジキル博士)、透明人間、ネモ船長によるヒーローチーム“怪人連盟”の活躍を描くコミック、待望の二巻目*1。今度の敵は『宇宙戦争』の火星人だっ!
 とにかく、前巻に増してのブラックな笑いと、オフビートなキャラクター達が楽しすぎる。もはや何の役にも立ってない(そのくせ、やるこたやってる!)クオーターメイン。格好良いんだけど、結局は利用されるだけな人のネモ船長。相変わらずの卑劣漢っぷりからトンでもないことになってしまう透明人間。でも本巻の主役はやっぱりハイドだろうなあ。とにかく活躍、というか暴れっぷりがすごくて、他の主人公格が霞んでしまうほど(もはやジキル博士はほとんど出てこない)。本作のハイド氏には良いシーンが多すぎるが、特に最後、ミナにキスを求め、そして一人三脚機に立ち向かうシーンは、もはや男泣きモノと言っても良かろう。で、その後火星人を***しまうところがまた……この展開がね、もう最高。
 ちなみにこのシリーズ、古典的なコマ割り(頁あたり9コマ)の多用と、映画的な演出の組み合わせも良い味を出してて、魅力の一つになっていると思う。冒頭の空飛ぶ絨毯に乗った男が渓谷に着地するシーン*2とか、最初に三脚機が登場するシーンの様に、大ゴマの使い方も、すごく効果的。
 ゲストキャラではモロー博士の登場が嬉しい。『ドクター・モローの島』でバート・ランカスター演じるモロー博士は、俺の少年時代のヒーローだったから。ウエルズの原作も小学生時代、何回も繰り返し読んでた。南の島の白い洋館でアヤシイ実験をしてる天才科学者という設定には、すごく惹かれるんだよな。本作でのモロー博士も、南の島にこそ住んでいないけど、格好良い立ち居振る舞いとマッドさのブレンドが良い塩梅で、かなりグッド。物語では最後の最後に、彼の作った“ハイブリッド”が自体を収束させるのだが、この展開、途中である程度は読めるんだけど(「ああ、ハイブリッドってのは****なんだろうなあ」とか)やっぱり楽しい。「やはりそう来たかっ!」って感じ。
 いちおう、本作で物語には一区切り付いてしまうのだが、この舞台設定での話はまだまだ読んでみたいものだ(初代怪人連盟の活躍とか)。いつの日か、3巻目が出る日を楽しみに待ちたい。

*1:vol.2とかじゃなく「続」というところがまたいいねえ。本国でも出てない3巻目がいつか訳されるとするなら、邦題はやっぱり『新リーグ・オブ〜』かな。

*2:ところで、冒頭のこのシーンを見て、『風の谷のナウシカ』を思い浮かべたのは、俺だけかな。