「山田風太郎忍法帖短篇全集4くノ一死ににゆく」山田風太郎

山田風太郎忍法帖短篇全集4 (ちくま文庫)
 山本タカトの表紙が艶っぽい、忍法帖短編全集4巻目。
 今回、一番印象的だったのが「つばくろ試合」。集中で一番長いだけあって、長編のプロトタイプといった趣もある(逆に言うと、ちょっと詰め込みすぎな気も)。おなじみの「智慧伊豆」こと松平伊豆守信綱も重要な役で出てくるし、柳生十兵衛がいないのは寂しい(死後の話なので)が、代わりに柳生連也が活躍するのも面白い。しかし、何と言っても、主客転倒するラストのどんでん返しが鮮やか!
 「盲牌試合」はネーミングも含めて、これぞ山田風太郎って感じの短編。集中ではこれだけ再読だったが、何度読んでもオチの馬鹿馬鹿しさには笑える。よく考えると相当グロテスクな状況なんだが…。こういう話をしれっと書けるのが、本当、凄いなぁ。
 今回のボーナストラックは「忍者石川五右衛門」の絵物語(絵・矢野徳)だが、好みのタイプの絵じゃないんで、何とも。思うに、山本タカトによる絵物語を観て見たいもんだ。