最近DVDで見た映画:バタフライ・エフェクト、死ぬまでにしたい10のこと

バタフライ・エフェクト

 人生を、特定の時点に戻ってやり直せたら……という素朴な願望を元にした、時間ものSF映画
 タイムスリップに回数制限があるのに、何度やってもその度に自らの行為が予想もつかない連鎖反応を生んでしまう、という設定が焦燥感を生んでいて、最後まで目を離せない。そもそも主人公の陥る運命というのが、性的虐待を受ける、下半身不随になる、目の前で親子が爆死するなどなど、どれも生々しく悲惨なもので、これなら命の危険を冒してでも過去を変えたくなるよなあ、と感情移入を誘うところが、上手いと言うかあざといと言うか。
 ところで、全体的に藤子・F・不二雄の異色短編にテイストが似ているような気がするのは、自分だけでしょうかね。結構きついシーンもある映画なのに、脳内で藤子漫画に変換してもあまり違和感が無いのが面白いです(もっとも、そもそも藤子漫画って結構シビアなところがあるんですが)。

死ぬまでにしたい10のこと

 「バロン」「アボンリーへの道」「ドーン・オブ・ザ・デッド」のサラ・ポーリー主演。マイナーだけど結構好きな女優さんです。
 自分の死期を、しかもそれが近いことを知った時、人はどんな行動をとるのか。シンプルで普遍的なテーマは魅力的なのだけれども、実際にはドラマで起こっていることを最後まで自分の日常感覚に引き寄せることが出来ず、「他人事」で終わってしまったのが辛い。途中で中だるみもしてしまったし、案外20〜30分くらいのショート・ムービーにまとめた方が良かったんじゃあなかろうか。
 面白いな、と思ったのは、死ぬ前に一度浮気してみたい!と主人公が見つけた相手が、見るからにむっさい内気でナイーブな文系男なところ。旦那の方が、若くてガタイも良いイケメン(でも、頭は悪そう)なんだよね。ある意味上手いというか、こういう組み合わせなら、不倫という題材を扱っても、男性に無駄な反感を覚えさせないんじゃないかな、と。だって、どっちの男により感情移入するかと言ったら、ねえ……。
 ちなみにこの映画、全体的にシンプソンズ第二シーズンのエピソード「残された時間」*1に良く似ている。この映画よりはシンプソンズの方が先なんだけれど、これはたぶん原作(Nanci Kincaidの短編"Pretending the Bed Is a Raft")の方のパロディだったということなんでしょうね。ただ個人的には、先にシンプソンズのエピソードを見ていたので、余計この映画のインパクトが薄れてしまった、ということはあるかも知れない。

死ぬまでにしたい10のこと 2枚組 [DVD]

死ぬまでにしたい10のこと 2枚組 [DVD]

*1:FOXでこれを観た前後に父が亡くなったこともあり、かなり印象に残っている話です。