『ドーン・オブ・ザ・デッド』

 ロメロ監督の名作『ゾンビ』のリメイク作。ツタヤ100円の日に借りたDVDを見ました。
 最初「走るゾンビ」が出てくると聞いて、ゾンビ映画の雰囲気が壊れるんじゃないかとちょっと不安だったけど、そんなことなかったので一安心した。確かに若干アクション色は強まって、展開もスピーディになってるんだけど、基本、ゾンビが「壊れた人間」であるというところは一緒なので。
 冒頭、ゾンビ化した夫に襲われて家を脱出、小奇麗な住宅街が阿鼻叫喚の巷と化しているのを目にするシーンが素晴らしい。いきなりの理不尽な展開の連続から、視点が広がるとともに、終末観がぐぐっと身に染みてくるのが、なんとも言えませんねえ。
 あと、個人的に好きなシーンは、モールの外の銃砲店でただ一人生き残った男と、ホワイトボードで連絡しあってチェスするシーンかな。ハリウッドスターのそっくりさんゾンビを撃ち殺したりとか、爺さんがついうっかりチェンソーで美女をぶった斬っちゃったり、とか、ところどころにブラックなネタが仕込んであるところも堪らない。もちろんゾンビ映画の定番、愛する人が壊れていく恐怖、ゾンビ化した仲間を殺さなきゃいけない悲しみも、ばっちり描いてあるし。
 ちなみに本作の主人公を演じたサラ・ポーリーは、マイ・フェイバリット・ムービー『バロン』でのサリー役が印象に深いです。彼女のチャームポイントは笑顔だと思うんだけど、本作ではあまり見られなかったのが残念(当たり前か)。でも、意志の強そうな瞳は相変わらず健在で、絶望的な状況にあっても逞しく戦い抜いていくヒロインを、魅力的に演じています。