『封印作品の謎2』安藤健二

 なんらかの理由で「封印」された特撮・アニメ・漫画作品の謎を追う好ノンフィクションの第二弾。
 前作はウルトラセブン12話のように、エピソード単位で封印されてしまった作品を扱っていたのだけれども、今回は「キャンディ・キャンディ」「ジャングル黒べえ」「オバケのQ太郎」「サンダーマスク」と、シリーズそのものを見ることが出来なくなったものを取り上げている。当然その理由もディープと言うか……。前作の作品群の場合「所詮世間がアホなんや」というか、理由が社会的なもの故に、逆になんらかの理由でひょっこり事情の好転が見込めないでもないような気がする。ところが今回取り上げた作品群は、いずれも関係者間の感情のもつれが絡んでるだけにややこしい。著者の丁寧な取材ぶりには好感が持てるものの、今回はさすがに相手が悪かったと言うか、結局ネットでわかる以上の事実が判るのは「サンダーマスク」(と「ジャングル黒べえ」のパートの一部)くらいというところか。しかし、そこが逆に問題の込み入りっぷりを実感させてくれる。
 個人的にはやはり「オバQ」のパートが一番印象深かった。「新オバQ」は個人的に藤子作品でも1・2を争うくらい好きな作品。とは言え、読み進めるほどに復刊の望みが薄くなっていくような感じで辛かった……。なにがあったのかははっきりしないものの、やっぱりねえ、「二人で一人の藤子不二雄」で育った世代としては、今の状況はどうにも納得いかないものがあるわけですよ。「ぼくドラ」でも故意に藤子A先生の存在がオミットされてるようなところがあって、なんとも嫌な気持ちにさせられたし。F・A両先生の友情が最後まで変わらなかった(本書でもこの点は強調してあった)ことは一つの救いではあるのだけれども、本人同士に問題が無いのにも関わらず今のこの状況であるというところが、逆説的に周辺でのごたごたの深刻さを表してるように思う。
 結局は、まあ、著作権管理の問題に行き着くわけで、友情とか信頼とか、感情を基盤に形成した合意なんて、逆に感情次第で際限無く目茶目茶になっちゃうもんなんだな、と。

封印作品の謎 2

封印作品の謎 2