『HAL』あさりよしとお

　あさりよしとおの曲者科学マンガ『HAL』の新装版。二分冊が一冊にまとめられて、大分お求め安いお値段に。
　科学マンガとは言っても、同じ作者の『まんがサイエンス』と違い、科学に関する意図的なウソ、ブラックなネタで笑わせるタイプの漫画。だからある程度の科学知識を必要とする、読者を選ぶタイプの漫画ではある。まあ、マニアックなネタという点ではカールビンソンなんかもそうだったんだけど……どちらも面白いことは面白いにしても、ちょっと「これ見よがし」な感じが鼻に付くのはどうかなあ、なんて思ったりも。まあ、旧版持ってるのに新装版を買ってしまった自分の言うことでも無いか。
　個人的にはウソネタではドップラー効果の話、ブラックなネタでは臨界の話が良かった。いや、臨界の話なんかは本気でシャレにならないわな。宇宙往還機のコストの話なんかも、当時のコロンビア事故後に起こった使い捨て・カプセル型宇宙船見直し論を思い出して懐かしい（http://www.sacj.org/openbbs/bbs41.html　このへん参照）。あれからもう3年も経ったんだな。
　新装版には書き下ろしマンガも収録されていて、これが「水からの伝言」ネタ。ま、ウソ科学はギャグの世界だけにして欲しいものです。

新装版 HAL―Hyper Academic Laboratory (ガムコミックスプラス)