『ドラえもん+3』藤子・F・不二雄

 1・2巻の刊行日が離れていたので、もう3巻が発売されてたとは気が付かず、店頭で見かけてびっくり。早速買いました。
 相変わらず様々な年代の作品をごちゃ混ぜに収録している。そのこと自体は良いんだけど、さすがに昭和40年代の自由闊達な描線を見た後に、平成に入ってからの筆圧の弱くなられた様なペンタッチを見てしまうと、失礼ながら無残な気持ちになってしまう。あと、巻末作品は「ゴキブリカバー」より「シャラガム」の方がいいんじゃないかなあ。まあ、自分の好みも入ってるのかもしれないが、なんとなく編集者のポリシーが見えないなあ、と。
 個人的なベストは「サウンドカメラ」と「アリガターヤ」。「サウンドカメラ」はやっぱりあの落ちが秀逸。傑作ゆえに昔コロコロで読んだ記憶も鮮明にあるので、カメラじゃなくてバカチョンだろう、とも言いたくはなるのだが……(「サウンドカメラ」だと、やっぱり音感が平板だ)。「アリガターヤ」はいかにも40年代らしいドタバタが面白すぎる。冒頭の思わず共感してしまう哀れさの漂うのび太と、生き神様と化したのび太の調子の乗りっぷりの落差も見事。こうなったら『チンタラ神ちゃん』*1の復刊も是非。チンタラ!

ドラえもん プラス (3) (てんとう虫コミックス)

ドラえもん プラス (3) (てんとう虫コミックス)

*1:少年の元にやってきた神様が「チンタラ教」という新興宗教を作って、信者を集めるために奮闘するハナシ。