ベティ・ブープ"Is my palm read"その2

 id:zeroset:20050806の続きです。"Is my palm read"はカートゥーン・ネットワーク「Late Night Black & White」で「ベティと占い師」という邦題で放映されました。面白いのはその中身で、オリジナル版とかなり異なるバージョンが放送されました。
オープニングが違う
 オリジナル版よりキャスト紹介が少ない。タイトルバックのベティさんも、オリジナル版では歩きながらウィンク、なのが、これでは顔だけが映っていて二回ウィンクというパターン。
線が汚い
 塗りも汚く見える。
動きがぎこちない
 動画枚数を減らされた印象です。
 しかし最大の違いは、あちこちをカットされているという点でしょう。

 ビルのネオン看板、骨相図と手相図が交互に点滅しながら最後には「鼻の頭に親指を当てて人を馬鹿にするポーズ」(正式になんていうか知らないけど、トゥーンではたまに見かけるポーズ)になるシーン。

 スポットライトが当たり素足のシルエットが露わになるシーン。

 ベティさん幼少時代の水浴びシーン。

 波がベティさんのお尻をなでるシーンから物陰で着替え終わるまでのシーン全て。カットされたところでは、ここが一番長い。ここが無いため、海を漂っていたベティさんがいつの間にか腰ミノ姿で歌っているという、珍妙なことになっている。
 大体こんなところです。

 ちなみに筒井康隆ベティ・ブープ伝』で"Is my palm read"が紹介されたとき、はじめに取り上げられていたのもこのバージョンだったと思われます。その後筒井はオリジナル版を観て、注釈にその内容を書いていますが、そこに挙げられていたカット部分と、このCN版のカット部分が酷似しているところから、両者が同じものであることは間違いないと思われます。
 『ベティ・ブープ伝』によるとこのバージョンはテレビ放送にあたって韓国で彩色されたものとのことです。カットされた部分はセクシャルな場面中心で、テレビ放送にあたっての配慮かと思われます。もっとも現在の日本人の目で見たら、なんてことは無いシーンばかりですが(幼女ベティさんの水浴びシーンだけは、むしろ現在の方がヤバいかも知れない)。最初のネオン看板のシーンを外したのは、罵倒表現だから教育によろしくない、ということでしょうか。動画枚数が減ってるのは彩色の手間を減らすため?線が汚くなってたり、オリジナルでは普通に不透明だったオバケが、このバージョンでは半透明になってたりするところを見ると、元の画面をトレスして作り直したんでしょうか?ちょっとこの方面の知識に疎いので良く分かりません。それにしても、自分達が子供の頃に観ていた「ベティさん」も、たぶんこのバージョンだんだろうなあ、と思うとちょっと感慨深いですね。
 そのテレビ放送用のフィルムが、さもオリジナル版であるかのように再びモノクロフィルムに焼かれてコレクター間で流通し、なぜかCNでも放送されたようなのですが、一体どんな経過でそんなことになったのか、興味深いですね。まあ、とりあえずCNにはちゃんとオリジナル版を放送しろよ、と言いたいです(これはこれで珍品っぽくて面白いけど)。