連句アニメーション『冬の日』

連句アニメーション 冬の日 [DVD]
http://www.fuyunohi.com/
 CS日本映画専門チャンネルで放送していた分を視聴。大藤信郎賞や文化庁メディア芸術祭の大賞を受賞した作品。芭蕉などによる連句「冬の日」を題材に、内外のアニメーション作家の競作を楽しめる。
 個々の作品は1分程度で、非常に短い。その分35人分もの作品が収録されているので、現代のアート・アニメのカタログ的な観方も出来て興味深い……はずなんだけど、う〜ん、どうしたことだろう、あまり面白くない。技法も画面の雰囲気も千差万別、そうとうバラエティに富んでいるはずなのに、こうして集まってみると、驚くほど平板な印象しか受けなかった。尺の短い作品が大量にあるというのが不味かったのかなあ。例えば食玩フィギュアとか、一つ一つ見ると凝ったつくりで作家性もあったりするんだが、ひとところに大量においてあったら「ちまちましたものがいっぱいある」という印象にしかならない。それと同じ様な感じ。
 連句を題材に選んだのもどうなんだろう。イメージが連なりあいながら変化していく様が、アニメ向きだと言うことで選ばれたんだと思うけど……でもそれはあくまで言葉の世界での「連なり」の面白さであって、映像としての面白さには直結してないような気がする。むしろ個々の作品に似通った印象を与えてしまう原因となってるかも。素人考えだけど。
 ただ、これはあくまでファースト・インプレッションであって、何回か観かえしたら印象も変って来るかもしれない。個人的にはノルシュテイン、マーク・ベイカー、山村浩二川本喜八郎の作品が印象深かったです。