『ミズ・マーベル』


ニューヨークはデイリー・ビューグル社で働く女性編集者、キャロル・デンバーズ。彼女にはある秘密があった。なんと彼女は意識を失うと共にスーパーヒーロー、ミズ・マーベルに変身、本人も知らない間に悪と戦っていたのであった!
1978年発行の邦訳アメコミ。古本屋で400円で売ってたので、さくっと購入。ミズ・マーベルというと、ローグにパワーを吸い取られた人、というくらいの認識しかなかったので、光文社のマーベル・コミックスのシリーズとして出てたことなんて知らなかったな。本巻では「さそり男(スコーピオン)」や「死の鳥(デスバード)」などとの戦いが描かれている。
このシリーズでは原書を新書版に縮小してあるため、アメコミ特有の膨大な台詞はそうとう省略されている様だ。でもそれが妙なリズム感を生み出してるようで、軽い訳文とともに、結構ポップな雰囲気を醸し出してる。…たぶん原作の雰囲気からは大分改変されちゃってるんだろうけど。
それにしても『Ms. Marvel #1』が1977年発行だから、原書出版から1年ほどでのスピード邦訳ということになるんだな。キャリア持ちである主人公の設定は、当時の日本ではどう受け止められたんだろうか。軽薄調文体で「ミズ」の意を解説する訳者あとがきとか読んでいると、「新しいものは皆アメリカから来ていた」時代の空気が感じられるような気がする。

なんとかしようって、考えてたら、グッドアイデアがでちゃった!ミスとミセスをくっつけてMSにしちゃえってわけ。ミスターとMSならもう悩むことはない。漫画じゃないけど「ミズ」って雑誌もでてるよ。でも、いまだにミスとかミセスと言いたがるがんこなやつがいるの。そう、この本に出てきたジェイムスン社長みたいなやつ。
そういうやつをね、メイル・ショービニスト・ピッグって呼ぶんだって。舌かんじゃうよね。きみ、ピッグ(豚)じゃいやでしょ。ナニ、かまわないって?もう1発マーベル・パンチだぞ!
(p206 池上千寿子)