廿世紀シネマ・ライブラリー 漫画映画の世界:CSチャンネルNECO

zeroset2004-10-21

 毎回めったに見る機会の無い、貴重なフィルムを放映してくれるシリーズ。今回もバラエティに富んでて、なかなか面白いラインアップでした。
『動絵狐狸達引』1933年
 フライシャーとか、同時代のアメリカのアニメの影響を強く感じさせる作品。というか、影響が強すぎて、まだ差別化できていないと言った方が良いのかもしれない。無生物を含め、グニャグニャ動くキャラとか、いかにもって感じ。それでいて、舞台は完全に和風というのが面白い。もっとも、動きやギャグのテンポは、フライシャー等に遠く及んでないのが悲しいが。
『オモチャ箱シリーズ第3話 絵本1936年』1934年
 南の島にやってきた侵略者を、絵本から飛び出した日本昔話の登場人物たちがやっつける、というお話。まぁ、南洋の解放者・日本!って感じで、時代を強く感じさせますな。面白い・・・というか今見るとヤバイのは、この侵略者が、どう見てもミッキーマウスなところ。浦島太郎や桃太郎に、コテンパンにやっつけられて逃げていくミッキー!すげえ。ちなみに南洋の住民としてフィリックスのパチモノも登場。このフィリックスもどきといい、張子のトラみたいなキャラといい、稚拙すぎる絵が、逆にフリーキッシュで印象的。夢に出そうだ。
『協力防空戦』1941年
 焼夷弾への対処法を手引きするための教育アニメ。アニメーションとしては、繰り返しや止め絵が多すぎて面白く無いけど、時代性という面からは興味深い。キャラがなんだか杉浦茂のマンガみたいなんだが、結構のほほんとしたノリなのに、やってることは、ある意味超シリアス(何しろ、現実にこの映画を見る人の命が掛かってたわけだから)なので、見ているとなんだか妙な気分にさせられる。なお作画に、東映長編などで活躍した大工原章の名前が確認できる。
『蛙と狐』1949年
 日本画風の画面が印象的なアニメ。蛙なんて鳥獣戯画そのもの。さすがに中国の水墨画アニメみたいに、キャラのタッチまで毛筆画風では無いけれど、それでも雰囲気は出てる。
『トラちゃんのカンカン虫』1950年
 トラちゃんシリーズ第三作。第一作「捨て猫トラちゃん」にはあった、詩情やある種の官能性は感じられない。でもトラちゃんは可愛いね。この辺りになると、現在の<アニメ>との連続性を感じられる。顔のデフォルメとか、明らかにアメリカのカートゥーンと方法論が違う気がする。ちなみにスタッフには、もりやすじの名も。
『ポン助の腕比べ』1951年
 「カチカチ山」をベースとしたお話。単純な線のキャラ等、なんだか1930年代に先祖がえりしたかのような雰囲気のアニメ。もっとも、このキャラデザには童画の影響もあるのかな。