平成狸合戦ぽんぽこ:金曜ロードショー

 やたら人は殺すわ(しかも馬鹿騒ぎで喜ぶ)金玉は出るわ、と高畑監督らしい悪意とタナトス嗜好が楽しい映画。ただ、やりたかった事は良く分かるんだけど、余計なモノが混じり過ぎてるのが残念。最大のきょう雑物は説教癖だろう。あと、この作品に関してはジブリの絵柄そのものが合ってない様に思える。特に人間の顔は、あんな可愛い絵柄じゃなく、もっとリアルなのか、逆に思いっきり戯画化したものの方が良かったな、と。
 一番魅力的なシーンは、やはり「並みの狸」が帆掛け舟に乗って死出の旅に出*1、権太達が死んでいく場面だろうか。何とも言えない寂寞感と、古今亭志ん朝の語りの軽妙さが、最高に決まってる。「並みの狸は死出の旅、ポンジャンポンジャン死出の旅・・・」「これぞ文字通り玉と砕ける玉砕」

*1:そう言えばロード・オブ・ザ・リングの最後も似たような感じだったが、向こうにも海の向こうは常世の国であるという思想があったのだろうか。