「河童の三平3」水木しげる

ISBN:4861560039
 少年サンデー版河童の三平のコンビニ版コミック、最終巻。集中では「木神さま」「幽霊の手」「夢のハム工場」がちくま文庫版には収められてなかったエピソードだ(なお「夢のハム工場」のみ、かなり後になってから別の雑誌に掲載されたもの)。
 最後のエピソードで、三平はあっけなく命を落とし、死神に地獄へ連れて行かれる。「三平は遠くへつれていかれてしまった」という、この上なく簡潔な文章が、また寂しい。全体的に、あきらめとも達観とも付かぬ人生観を感じさせながらも、登場人物に寄せる作者の視線は、あくまでもやさしい。本編中の死神の言では無いが、これこそが本当のヒューマニズムって奴なんだろうね。

あっ 三平のやつ いつまでも・・・・・・
おれの ヒューマニズムを 理解して くれねえん だなあ・・・・・・

 タヌキと三平の母親が、並んでかん平を見送るラストシーンは、何べん読んでもため息を付きたくなる。のほほんとした日常と、幽冥の域が同居しているような独特の雰囲気は、水木にしか描けないものだろう。