赤毛のアン 第7章「レイチェル夫人恐れをなす」:CSアニマックス

  • 足を踏み鳴らして怒り狂うアンの描写が強烈で面白い。いや、女の子主役のアニメで、なかなかここまでやらないって、普通。マリラに叱られて、泣き叫びながら2階に駆け上る描写もいいなぁ。まぁ、初見の人は思いっきり引くか、大笑いする場面だよね。自分は、ナニコレおもしれーっ、と大笑いした組でした。
  • レイチェル夫人は、田舎ならどこにもいそうな人物像で、とってもリアルだと思う。面倒見が良くて悪い人じゃないんだけど、保守的で、ちとデリカシーに欠ける人。
  • 夫人に対する態度を注意するマリラだが、アンは自分のプライドに懸けて、まったく反省しようとしない。マリラに対し「蛙や蛇でいっぱいのジメジメした牢屋に押し込んでくれたっていいわ。でもリンドさんに謝ることだけは出来ないわ!」と凄い事をいうアン。しかしマリラも即座に「ジメジメした牢屋なんてここには無いね」と切り返すのが上手い。で、それにまたアンが「じゃあ、一生ここに居るしか無いわ。だってちっとも悪いと思ってないんだもん」と返すわけだ。この二人の女の確執(?)面白い!似て無いようでいて、結構共通点があったりするのがこの二人。マシュウは「女っちゅうは強情でいかん」などと言ってたが、マリラだけじゃなく、アンにも当てはまる言葉なんだよね、これ。
  • それ程強情だったアンだが、マシュウが頼むと、一も二も無く夫人に謝ることを承知してしまうのが印象的。マシュウが「うまが合う人」なのもあるんだろうが、やっぱり同性の親相手だと、余計意固地になっちゃうんだろうなぁ。それにしても「おじさんのためなら何でもするわ」(;´Д`)ハァハァ

 そして、レイチェル夫人と和解しての帰り道、グリーンゲイブルズを目にしたアンは、そっとマリラに寄り添い、手を繋ぐ。はっとするマリラ。

Na「アンの細い、小さな手が自分の手に触れたとき、マリラの胸に、なにか暖かくて心地良いものが湧き上がってきた。それはマリラがこれまで味わったことの無い、母のような気持ちであった」

 美しいシーンだ。50話中、ある意味もっとも官能的な描写。ここで言う「官能的」とは良く使われるように、セクシャルな、という単純な意味では無い。糸井重里宮崎駿作品に見られる生命力の迸りを「官能的」と表現した様に、また高畑勲が同様に宮崎作品を「エロスの火花」と評した様な、そういう意味で「官能的」なのである。繊細な演出と、生き生きとした動画の持つ圧倒的な力によって、我々もこの一瞬、マリラと同じように、アンの小さな手を感じる事ができるのだ。