スパイダーマン2

 サム・ライミ監督のスパイダーマン、2作目。
 今回の敵はDrオクトパスってことで、前作より地味なアクションになるんじゃないかと心配していた。いや、グリーンゴブリンが空を飛び回ってたのと比べるとねぇ、ビジュアル的にも小太りの親父にロボ腕が4本生えてるだけ、という地味さだし。しかし実際に見てみると、壁面をワシャワシャ這いまわっての戦いは、むしろ前作より「高さ」を感じさせてスリリング。Drオクトパスも車を掴んで投げつけたり、ジュラシック・パークティラノサウルスばりの足音演出があったりと、パワフルな演出が良い感じだった。
 でも、なんと言っても今回は、ピーターのヒーローとしての挫折と復活のドラマ、もうこれに尽きるね。何をやっても報われないピーター。バイトを首になり、MJにも振られ、パワーも無くなり、ついにスパイダーマンをやめることを決心する。こうしてヒーローとしての重圧から逃れたピーターは、気楽な学生生活を満喫する(ここで名曲「雨に濡れても」がかかるのがイイ!)。しかしメイ叔母さんの言葉に、そしてスパイダーマンに憧れる男の子の純粋な眼差しに、ついにヒーローに復帰することを決心する。例えそのことが、自分の夢を失うことを意味していても・・・。
 その後MJの危機にパワーも戻り、Drオクトパスによって暴走した電車を止めようと大奮戦。なんとか大事故は食い止めるものの、力尽きて倒れてしまった彼を、乗客たちが手に手に抱え上げ、いたわりの言葉を掛ける・・・もうね、このシーン最高。一緒に見に行った連れによると、隣に座ってた男子中学生がこのシーンですすり泣き始めたそうだが、いや、その子の気持ち良く分かるわ。俺も涙目だったもん。ヒーローの条件とは、特別な力なんかじゃ無く、正義に殉ずる覚悟なんだよな!
 ただ、最近のハリウッド映画の常と言おうか、無理して恋愛要素を入れようとして、ドラマをぶち壊してる所があるのが残念だった。というか、はっきり言ってMJイラネ。大体Drオクトパス、いやオクタヴィアスさんが頑張ってニューヨーク壊滅の危機を救おうとしてるその時に、お前ら何イチャイチャしてるんだコラ。最後の「卒業」も無くていいし、あのまま宇宙飛行士と結婚しちゃえば良かったのに。ピーターには下宿屋の娘の方がお似合いだよ。