「日本の魚―系図が明かす進化の謎」上野 輝弥、坂本 一男

日本の魚―系図が明かす進化の謎 (中公新書)
 日本に生息する魚類100種程度について、その進化上の系統や特徴を簡単にまとめた本。近縁の魚2種を一項目にまとめ、5・6ページくらいで簡潔に紹介してある。メダカとトビウオ、タラとアンコウといった見た目が全然違う魚が、実は分類学的には近縁であることなど分かって面白い。
 個人的には魚の進化の道筋を体系的にまとめた様な内容を期待していたが、そういう本では無かった。通読するというよりは、魚を釣ったり、夕食の刺身を食べたり、その時々で気になった魚の項目を引いて読んでみる、といった使い方のほうが合ってるだろう。コンパクトながらも内容の濃い一冊だと思う。
 ただ、一般向けの本なのに、時々妙に専門的な記述(骨の名前など)が混じってるのが気になる。あと、図版はもっと豊富(出来ればカラーで)な方が良かった。