ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち#3「優雅なくらし」:CSカートゥーン・ネットワーク

 水曜日放送分。ピンパーネルを迎えるため、ヘイズルたちはカウスリップの村へ行く。そこは食料が豊富で外敵もいない平和な村だったが、ピンパーネルの姿は見えず、ファイバーも異常に脅えだす。そんな中、ビグウィグが人間の作った罠に掛かってしまう。しかし、村の住民は助けようとしないばかりか、救援を求めるヘイズルたちの声を無視さえするのだった。ただ一人、ヘイズルたちのもとに来たストローベリーが語る、村の真実とは……。
 展開はやっ!カウスリップの村のエピソードは、2話分くらいはかけるのかと思ってたのだが、結局一話で済ませちゃったな……。ダレが無いのは良いけれど、原作でも屈指のトラウマ・シーンであるビグウィグが罠に掛かる場面は、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったなあ。カウスリップの村の持つ、見えない恐怖を象徴する場面だから。さすがに映画版ほどショッキングなシーンで無くても良いんだけど、ちょっとあっさりしすぎ。
 食料を探す必要の無いカウスリップの村では余剰時間があるため、一種の芸術活動が行われている、というのが面白い。牧畜・農耕文明の比喩なのかな。原作では偶像崇拝を示唆するシーンもあったような気がするのだが、罠の犠牲者達も神への生贄と言えるような存在なんだろう。作者は当然批判的に描いている訳だが、このあたり西洋の一部のインテリたちの持つ、狩猟採集文明を理想化しての現代文明批判、というスタイル(こないだ感想を書いたソウヤーの「ネアンデルタール・パララックス」もそうだろう)を感じないでもない。

ウサギ語辞典

 原作でもアニメでも、通常の言葉に混じって、ウサギ語の単語が使われている。特に説明が無いので戸惑うこともあるのだけれど、物語の背景の厚みを感じさせられて面白い。とりあえず、アニメ版3話までに出てきたウサギ語の単語を、http://www.geocities.com/bunnylvr72001/Lapine_Glossary.htmlと昔読んだ原作の記憶を元にまとめてみました。

  • アウスラ:上士。群れを統率する階級。ビグウィグやホリーも、サンドルフォードでは上士だった。
  • インレの黒ウサギ:一種の死神。黒ウサギにその名を呼ばれたものは群れを抜け、彼の元へ行かなければならない。
  • エル・アライラー:「千の敵を持つ王」。フリス神によって敵を出し抜く知略を与えられた、伝説上のウサギ。ウサギの祖先神。
  • フリス:太陽神。地上に恵みを与える。
  • フレイラ:滅多に食べられない、美味しい食べ物のこと。