ピーターパン2 〜ネバーランドの秘密〜:CSディズニー・チャンネル

ピーター・パン 2 ネバーランドの秘密 [DVD]
 最近、ディズニーは続編ものをビデオスルーで乱発しているが、これは珍しく劇場公開された作品。「2 Stupid Dogs」のDonovan Cookが監督の一人を務めている。ちなみに日本語吹き替えは上戸綾と安田成美。変なクセのついたイントネーションは何とかならなかったのかなあ。一瞬、外国人が日本語で吹き替えているのかと思った。
 冒頭、意表を付くロンドン空爆シーンから始まるお話は緊張感を感じさせて(この時点では)すごく期待を持たせてくれる。ピーターパンとネバーランドで冒険した少女、ウェンディも今や二児の母。彼女の娘ジェーンは家族思いだけれども、戦時下の厳しい状況下、子供らしい夢を抑圧して生きている少女だった(軍服姿で爆撃下のロンドンを走っていく姿が可愛い)。ところが、突然現れたフック船長が、彼女をネバーランドへ拉致してしまう。ピーターパンに助けられたジェーンだったが、ウェンディと違って「夢」なんて信じられなくなった彼女は、あくまでも現実世界に戻ろうとする。とうとう子供たちの元から飛び出してしまったジェーンは、フック船長に手を組むよう誘われ……。
 ここまでは本当に面白そうな感じ。で、ここからジェーンの固く閉ざされた心がピーターパンたちによっていかに解きほぐされていくのか、そこのところが見所、ドラマの山になるはず。普通そう考えるよねえ。でもこの映画、ジェーンとピーターパンたちが一回楽しく遊んだだけで解決しちゃうんだよな。「よおし、これからはジェーンは僕たちの仲間だ!」「まあ、うれしい」「わーいわーい」で終わり。う〜ん……ここでは思わずがっくりきてしまった。
 ま、その後、ジェーンの活躍でピーターたちを助け出すシーンは、それなりに良かったんだけどねえ。ジェーンも結構りりしいし。それだけに前述シーン、もうちょっと何とかならなかったのかな。あと、最後にウェンディがピーターパンにはっきりと対面してしまうのは「野暮」だと思う。ここは秘するが花でしょ。
 グラフィック的には、他のディズニー作品に比べると平板だし、何より3DCGと2Dアニメの乖離がひどすぎて、画面がしょぼく見える。でも有象無象のビデオスルー作品よりは、ずっと動いてくれているのが救いかな。公開時には、偉大な前作との比較からどうしても悪評ばかり目立った作品で、まあ、自分も色々書いたけど、あまり細かいところを気にしなければ割と楽しめる作品だと思う。どうでもいいが、見てる間、何故かディズニーによる前作よりも世界名作劇場版の方のピーターパンを思い浮べてしまった。なんとなくこっちの続編というほうがしっくりくる。