『AERA SCIENCE』

AERA SCIENCE (アエラ・サイエンス) AERA 臨時増刊号 [雑誌]
 AERAの臨時増刊号。朝日新聞社が出す科学雑誌ということで、今は亡き「科学朝日」(サイアス)の再来か?と色めきたって購入したものの、相当テイストの異なる雑誌でがっかり。AERAはあくまでもAERAでした。
 巻末には玄侑宗久が「仏教宇宙が物理宇宙を包み込む」というエッセイを執筆している(こちらのページで読める)。現代科学で解明されたようなことは、とっくの昔に仏教で想定されてたことなんですよ、という様な内容。要するに「キサマ等のいる場所は、我々が既に2000年前に通過した場所だッ」ということか。……でも、こういうのって、どうなんだろ。昔っからこの手の文章を読むたびに思ってたんだけど、宗教と科学という、用途も理論の構築の仕方も全然異なるものを比べて、一致しているところがあったからといって、それが何だと言うのかなあ。お互いにヒントを得ることはあっても良いと思うんだけど、でも、このエッセイの様な「考察」が、宗教としての観点から我々にナニカを与えてくれることってあるの?そりゃあ現世的には「宗教の権威付け」という意味があるんだろうけど。……例えばキリスト教原理主義者の「ビッグバン理論は聖書の記述と一致する」なんて主張と、このエッセイに質的な差異なんて無いと思う。いい加減、こういう恣意的な言説には気をつけるべきなんじゃないかな。