赤毛のアンのサントラ決定版か「赤毛のアン 想い出音楽館-完全版-」三善晃、毛利蔵人

 高畑勲による傑作アニメ(個人的には、全てのテレビアニメの中で永遠のベスト1)「赤毛のアン」のサントラ集。現代音楽家三善晃とその愛弟子・毛利蔵人が作り上げたクラッシック調の音楽は、童謡やポップス調の音楽の多い名作劇場の中では独特の異彩を放っている。本放送時には「子供には高級すぎる」との非難もあったそうだ。ちなみに、アニメ自体も後半は(視聴対象のはずの)子供を突き放した様な内容で、人を選ぶところがある。好きな人は徹底的に好きなんだけどね。
 今回のCD は、アンに使われたほぼ全てのBGMと主題歌・挿入歌が収められているアルバムで、まぁ、ファンにとっては「待ちに待った」アイテムというところ。値段が高い様に感じるかもしれないが「テレビオリジナルBGMコレクション」「ミュージックサンプラー」「主題歌・挿入歌全集」の3枚を買いそろえたり(それでも網羅されていないBGMがある)、ヤフオクでバカ高い金を出して過去のレコードを買い集めたりするよりは、遥かに安あがりというものだ。なにしろ初CD化音源だけで70分を超えるというのが凄い。もちろん今回は予告編の音楽や、アンとダイアナが歌う「はしばみ谷のネリー」ダイアナが独唱する「アヴォンリー小学校校歌」もちゃんと入っている。
 なお、今回のアルバムは曲名*1、構成ともに新たに組み直されている。具体的には、アニメの展開に合わせて曲が再配置され*2、曲名も物語を連想しやすいものになった。要するによりアニメの内容を想起し易い構成になった訳で、この辺もファンとしては嬉しい。もっとも、「テレビオリジナルBGMコレクション」の「アヴォンリー・詩人の顔(かんばせ)」というような曲名も、これはこれで赴き深いものがあったけれども。(ちなみに、構成を担当した方による補足解説がhttp://www3.airnet.ne.jp/haramaki/gekiban/news/Anne_CD_List.htmlにある。参考までに)
 個人的には、挿入歌が聴けることと(「主題歌・挿入歌全集」は買おうかどうかずっと迷ってたし)、構成が物語に準拠したものになったことだけでも嬉しい。
 ただねぇ、どーせこの手の商品はマニアが買うんだろうし、ジャケットはもっと渋く、解説も思い切ってマニアックなものでも良かったんじゃないでしょうか。いや、これだけの仕事を目の前にして、贅沢な注文だとは分かってますが。次は「うたとおはなし」の再発を、是非。
 (続き→id:zeroset:20040625)

*1:オリジナルの曲名はA-1というような素っ気無いものなので、これまでのアルバムでも何曲かまとめて独自の名前が付けられている。

*2:ただし、主題歌・挿入歌は最初にまとめてある。個人的にはこちらも物語に添った形で、全体に散らして欲しかったところ。