「謎と不思議の生物史」金子隆一

イラスト図解 謎と不思議の生物史 こんな怪物たちが実在した!

イラスト図解 謎と不思議の生物史 こんな怪物たちが実在した!

 再読。職場で実験に使ってた機材にホヤがびっしり付いてるのを見てたら、何となくカルポイドについて調べたくなってパラパラと読み返した(もっとも、カルポイドについては2〜3ページしか書いて無かったのだが)。ちなみに、カルポイドというのは棘皮動物に属する(?)絶滅生物なのだが、ホヤのみならず我々人間をも含む脊索動物門の先祖ではないかという説もある。カルポイドに限らず、棘皮動物って地味そうに見えて実はかなりのキテレツ生物なので、ちょっと調べて見ると面白いですよ。
 さて、本書は、生物の歴史において現れた、ちょっと不思議な生物達を色々紹介するという趣向の本。イラストが多く、各生物についても3〜4ページほどで簡潔に記述してあるので気軽に読める。有名なバージェス生物群についてはグールドの「ワンダフル・ライフ」以後の研究結果も記してあるので、あの本が好きだった人にもお勧め。もっとも、この本自体もう結構前に出た本だから、既に古くなった記述もあるかも知れない。
 ちなみに著者の金子隆一氏とイラストの本多成正氏は、NHKの子供向けアニメ枠でコアなSFをやっちゃったことで有名な「恐竜惑星」「ジーンダイバー」「ナノセイバー」の監修者でもある。だからか、本書には「ジーンダイバー」の主人公の唯ちゃんが一箇所だけカメオ出演していたりする。

追記(2017年10月19日)

 なお、現在では科学ライターとして単著を何冊も出している北村雄一もイラストを担当している一人だが、彼はこの後、BCF仮説や(恐竜絶滅の)小惑星衝突説反対論、今西進化論などに対する金子の傾倒を、辛辣に批判している。