『Oscillons from the Anti-Sun』Stereolab

 (一応説明しておくと)ステレオラブは1990年に結成されたバンドで、ボサ・ノヴァ、テクノ、ジャーマン・プログレ実験音楽、ラウンジ・ミュージック、と多彩な音楽の影響を取り込んだ独特のサウンドで知られている。このアルバムは『Space Age Bachelor Pad Music』(1993年)のあたりから『Sound-Dust』(2001年)の頃まで、要するにメアリー・ハンセンが在籍していた時代のステレオラブシングル8枚にレア音源をいくつか、それにビデオクリップやテレビ出演時の映像などを納めたボックス・セットである。それでCD3枚+DVD1枚で1980円、という値段なんだから異常に安い。安すぎる!はじめ、Amazonが値段を付け間違えたかと思ったよ……。日本のアーティストだったら5千円から下手したら1万円強くらいの値段がついててもおかしくないよなあ。(シングルも多くは手に入りにくいので)レア・トラック集としても、ベスト盤としても楽しめるわけで、マニアも楽しめるし、これから聴いてみようか、と言う人にも十分勧められるだろうね(なにしろ値段が値段だし)。
 個人的にはCD1枚目、"Golden Ball"から"Cybele's Reverie"そして"Off On"に至る辺りの流れが好き。NEU!やCANのフォロワー面目躍如だる"Golden Ball"、その荒々しいギター音の反復とハンマー・ビートが生み出す強烈な高揚感のあとで、"Cybele's Reverie"でのストリングスの甘い調べへ続くあたりの興奮は、(バンドの音楽遍歴の)時系列を組替えられるベスト盤ならではのナイスな配置だと思う。
 あと、やっぱりDVDだよなあ。特に、今は亡きメアリー・ハンセンが……。前に海賊版ビデオでライブ映像を見たときにも思ったけど、ノースリーヴのワンピースで一心不乱にタンバリンを振りながら歌ってるのが、なんとも言えない雰囲気でイイ!です。

Oscillons From the Anti Sun (W/Dvd)

Oscillons From the Anti Sun (W/Dvd)