体の左右を決定する仕組み

http://www.asahi.com/science/news/TKY200505110349.html

私たちの体は、なぜ心臓が左側で、肝臓が右側なのか――。東京大の廣川信隆教授と田中庸介助手らのグループが、体の左右の決定に重要な役割を果たす物質が分泌されているのをマウスの実験で突き止め、大きななぞ解きに一歩近づいた。12日付の英科学誌ネイチャーで報告される。

イラスト図解 謎と不思議の生物史 こんな怪物たちが実在した!
 脊索動物って自分達(ヒト)も含むグループだから認識しにくいんだけど、実は動物界全体から見ると相当奇天烈な生き物だったりする。なにしろ原口が肛門になってて神経が背中側で消化管が腹側と、上下・前後がともにさかさまになっているのだから。しかも外見は左右対称なのに体の中身は左右非対称だし。
 このあたり、進化の過程で何が起きたのかまだはっきりとは分かっていない。金子隆一の本やネット上でのドキュメントなど見ると、どうも左右が異常に非対称で、体の前後もハッキリせず、棘皮動物か脊索動物かも分かっていない、カルポイドと呼ばれる絶滅生物がそのあたりの鍵を握っていると言われているようだ。ちなみに棘皮動物のウニや、原始的な脊索動物であるナメクジウオも発生初期で著しい左右非対称を示す。
 ともかく、そんな左右非対称を生み出すメカニズムの一端が分かった、というニュース。カルシウムの濃度勾配が関連することは以前から知られていたけど、それを引き起こすのが「カプセルを繊毛で送り込む」と意外なほどアナログ的な仕組みであるのが面白い。ちなみに問題の物質「ソニック・ヘッジホッグ」*1は体の前後、即ち神経と脳の発達にも関わるタンパクでもある。

*1:この名前、やっぱりセガの青いハリネズミから?